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【保存版】代替肉のメリット・デメリット【食品開発歴9年が徹底解説】

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悩んでいる人

最近、よく耳にする代替肉ってそもそも何だろう?肉の代わりになる?

悩んでいる人

米国株の投資を始めてて、代替肉がアツいって聞いたけど本当なの?何がすごいの?お金が集まってるらしいし…

悩んでいる人

代替肉って日本で食べられるのかな?環境に良いとか聞いたけどメリット、デメリットが知りたい…

こんな疑問を抱えていませんか?

ユウイチロウ

最近よく耳にする代替肉、仕事でも問い合わせが増えています。
今回は食品メーカーで9年ほど研究開発をしてきた僕が「代替肉」のメリット、デメリットを徹底解説します。

✔本記事の内容

  • 代替肉とは?(具体例を使って解説)
  • 代替肉のメリット・デメリット
  • 代替肉の進化

今回は代替肉の定義を含めて丁寧に解説していきます。

✔参考文献

本記事は参考文献を用いながら文献ベースで解説していきます。

理由は「代替肉」ってワード自体が最近出てきたもので、文献を使った方が誤情報の拡散にならないと考えたからです。

それではぜひ最後までお読みください。

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代替肉とは

そもそも代替肉とは何なのか?Wikipediaですでに掲載されちゃっていますが、文字通り肉に代替されるもので牛や豚、鶏を食肉処理したものではないタンパク質の総称です。

参考:代替肉-Wikipedia

とはいえ、正確に定義されているわけではなく、業界ではフェイクミート、プラントベースプロテイン、大豆ミートなど由来原料の名前が入っていることが多いですね。

代替肉の火付け役

代替肉の火付け役はアメリカのインポッシブルフーズ社だと言われています。インポッシブルフーズは、2019年1月に植物性パティを使った「インポッシブルバーガー2.0」を発表し、プロモーションとして大成功しました。

参考:CES 2019: Impossible Foods、レベルアップしたベジタリアンバーガーを高級食料品店で販売へ

代替肉のインポッシブルフーズ社とは

アメリカのカリフォルニア州に本部を置く食品テクノロジー企業で、スタンフォード大学の生化学名誉教授のパトリック・O・ブラウンが設立しました。

Googleが投資したり、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが投資したりなどして、巨額の資金調達に成功しています。

英語ですが公式サイトもあり、インポッシブルフーズのバーガーをどれだけ食べると、温暖化ガス排出量をどれだけ削減できるのか計算できるツールがあったり、環境面への影響を詳細に訴求しているのが特徴です。

参考:インポッシブルフーズ公式(英語)

なぜインポッシブルフーズバーガーを食べると温暖化ガスの排出を抑えることができるのか?

実は畜産業は環境破壊に大きな影響を及ぼしています。

例えば、牛肉は焼き肉でもハンバーグにしても美味しいですし何度も食べたくなりますよね。なので、牛肉の消費量も増えており、比例して畜産量も増えています。

しかし、牛は飼育する過程でたくさんの温室効果ガスを排出するんですね。

  • 牛のゲップに含まれるメタンガス
  • 牛が出す糞に含まれる亜酸化窒素
  • 牛の餌、肥育飼料の輸送

畜産業は温室効果ガス排出全体量の18%もあると言われ、自動車産業の13%よりも大きいことがわかっています。

なお、中でも牛は最も資源が多くかかり、温室効果ガスの発生が大きいのは事実です。

引用元:マッキンゼーが読み解く食と農の未来p31

環境問題がきっかけのひとつとなり、代替肉がトレンドかつ今後も要注目になっているんですね。

ちなみに、創業者のミッションは「家畜の要らない世界をつくること」。まさに環境問題がきっかけになっています。

代替肉市場が急成長

環境問題的な背景やインポッシブルフーズのプロモーションの成功で2020年は一気に代替プロテイン市場が急成長しています。

以下はThe GAFAs(The Global Alternative Food Awards)から植物ベースの代替肉ブランドのカオスマップを引用しました。上が2018年1月、下が2020年7月時点です。

2018年1月時点のカオスマップ 引用元:https://newprotein.org/evolution

2020年7月時点のカオスマップ 引用元:https://newprotein.org/evolution

たった2年半でかなりの代替肉ブランドが出てきているんですね!!みなさんはインポッシブルフーズがどこにあるか分かりますか?

ぶっちゃけ探すのはひと苦労です。笑

多分2018年ならわかると思いますが、2020年で探すには少し時間がかかりますよね。数が数えられないほど多くの会社が代替肉の開発に力を入れています。

代替肉レベルの5段階

代替肉の進化は5段階で分類できると、フードテック革命では紹介されています。以下、少し引用してみますね。

【代替肉レベル1;「肉の代用品」】

特徴/豆腐ハンバーグなど、肉を他のもので置き換えており、味わいからして自分が食べているものが肉ではないことが明確なもの。置き換えた食材自体の体験や価値も重視される。

【代替肉レベル2;「肉もどき」】

特徴/肉の食感を中心に再現したもの。素材の持つ栄養素や健康的な要素が価値となる。乾燥大豆ミートやセイタン(小麦グルテンを主原料とした食品)など、肉っぽさはあるものの、肉の香りなどはせず、乾燥した食材を湯で戻して調理するなど、肉とは異なる体験が残る。

【代替肉レベル3:「肉に近い喫食体験」】

特徴/ベジバーガーなど、肉の食感だけでなく味も再現しようとしたもの。ただし肉の香りはせず、ベジタリアン向け。肉付きの人々を満足させるには至らない。

【代替肉レベル4:「肉と同じ調理~喫食体験」】

特徴/インポッシブルフーズやビヨンドミートに代表される植物性代替肉。”鮮肉”としての状態で販売され、調理すると赤身が茶色く変化し”肉汁”とアロマが広がるなど、調理体験まで肉と同じにしているもの。味わいや食感も本物の肉と大きく変わらず、肉好きの人にとっても満足度が高い。また、調理・喫食いずれにおいても変化は求められない。それでいて環境にいいなど、倫理的な満足感も得られる。低カロリーやゼロコレステロールなど、機能として肉に勝る部分もあるものの、塩分が多いなど、健康的な食品とは言えない面がある。

【代替肉レベル5:「肉以上の機能性」】

特徴/最先端プレーヤーが目指しているレベル。調理・喫食体験が本物の肉と変わらないうえ、肉以上の栄養素た保存性を実現したもの。もちろん、健康的な価値も担保されている状態。

引用元:フードテック革命(日経BP)Chapter 4 「代替プロテイン」の衝撃より

上記の5ステップで分類され、インポッシブルフーズはなんと既にレベル4まで進んでいて驚きでした。

レベル1〜3とレベル4にの間は大きな壁があり、食感だけでなく、肉本来の見た目や香りまで再現できているのは日本では聞いたことがないです…

  • レベル1:単なる肉の置き換え(例:豆腐ハンバーグ)
  • レベル2:肉っぽいもの(例:乾燥大豆ミート)
  • レベル3:ベジバーガー(例:大豆ミートバーガー)
  • レベル4:インポッシブルフーズなどの植物性代替肉(焼いたりするところから肉と間違う)
  • レベル5:未開拓(肉以上の価値提供!!)

美味しい代替肉のコア技術

インポッシブルフーズの代替肉の特徴は赤身と肉汁のアロマです。

インポッシブルフーズでは、肉の要素を栄養、フレーバー、見た目と調理体験、食べ心地と大きく4つに分けて考え、これらを肉と全く同じ、または肉以上のことができないか模索しています。

特に、「人間は何を見て肉と思うのか?」を解明しようとしていて、そのひとつに「ヘム」という化合物が肉を思わせる視覚効果や肉を感じるフレーバーのコア技術になっています。

その証拠に、インポッシブルフーズは日本でもこのコア技術を特許出願していることを確認しました。

なので近々、日本にも進出するのではと僕は考えています。気になる人は、特許情報プラットフォームでインポッシブルフーズで検索してみてくださいね。以下は特許の事例ですがかなりの数が出願されています。

なお、インポッシブルフーズは「2025年を制覇する破壊的企業」にも選ばれていますね。

代替肉のカテゴリー5つ

植物性プロテイン

インポッシブルフーズに代表される植物ベースの代替肉です。

主に由来原料は大豆、小麦、エンドウ豆などですが、近年は新しい植物素材の探索も進み果実を素材にしているスタートアップも出てきています。

マイコプロテイン

土壌から得られる糸状菌を培養して加工したプロテインです。

欧州では30年以上前から流通している「QUORN(クォーン)」が有名で「ベジタリアンの肉」としてサラダに混ぜて食べている人がいるとのこと。

昆虫食

昆虫も立派なタンパク源で、生産効率が期待されています。

最近、無印良品でもコオロギせんべいが話題になりました。昆虫食は食文化によってなじみがない地域もあり、人間がたべる心理的ハードルは高いですよね。

参考:コオロギが地球を救う?:コオロギせんべい

培養肉

いわゆるクリーンミートです。

植物さえも使用せず細胞を培養することで肉を製造します。まだまだ量産化が難しい状況ですが、謎肉で有名な日清食品が力を入れてますね。

参考:日清食品:研究室からステーキ肉をつくる。

微生物・発酵

植物性代替肉、培養肉に続く「第3の波」と言われた微生物の発酵で作るプロテインです。

動物に頼らない乳タンパク質の開発に成功したスタートアップ、「パーフェクトデー」が有名になっています。3Dプリンターや牛のDNA配列を組み入れた新たな酵母を使い発酵させることでプロテインを組成しているみたいですね。

参考:パーフェクトデ−公式サイト(英語)

代替肉の5つのメリット

代替肉は最初に書いた温室効果ガスの排出を減らすといった環境面以外にもメリットが多いんです。

メリット1.代替肉は100億人の食を解決する

2050年、世界人口は19年の77億人から97億人にまで急増すると国連は予測しています。

日本では人口減少が進んでいますが、世界では逆に増えており現状のままでは食料、特にタンパク質の供給がもたないという危機感があります。

もちろん、世界人口はこれから減っていくという予測する研究者もいるのですが、中間層が増えている以上、肉の消費量は増え続ける予測が出ています。(※農水省による食料需給の予測

しかし、代替肉を開発することで環境負荷のかかる畜産業の増大を抑制できる可能性がありますね。

メリット2.代替肉で動物じゃないタンパクを供給できる

畜産は広大な牧場でのんびり草を食べる牛を想像する方も多いかもしれませんが、実はこれ以上農地面積を増やせない中、狭い養鶏、養豚場内で鶏や豚たちはひしめき合うような形で育てられています。

さらに、牛は本来は草食動物にも関わらず、飼料として多く使われているのはコストを理由にトウモロコシ。これは安価で入手しやすいという経済合理性が理由ですが、牛の身体には負担がかかっている指摘もあるようです。

したがって、代替肉を開発することでこれ以上動物を犠牲にせずにする未来が作れる可能性があり、まさにインポッシブルフーズが目指している世界が実現できるかもしれません。

メリット3.代替肉は感染症を発生させるリスクを減らす

今、世間を騒がしている新型コロナウイルスに関しては畜産との関係は明らかになっていないですが、無理のある家畜の飼育は危険という見方があります。

というのも、豚熱や鳥インフルエンザなどの感染症は畜産から発生しており、感染症で有名な天然痘も実は畜産が原因として考えられているんですね。

参考:天然痘ワクチンの開発者 エドワード・ジェンナー

なので、無理な畜産を減らすことで間接的ではありますが新たな感染症発生リスクを低減できるでしょう。

参考:畜産がヒトの感染症リスクになる可能性

メリット4.代替肉で低脂質な食事ができる

代替肉は由来原料が植物であるため、畜肉に比べてもの脂肪が少ないので相対的にタンパク質が多くなります。

したがって、栄養バランス調整がしやすくなりますし肥満の原因である、脂質を減らすことができるので世界的な栄養課題の解決に繋がると考えられますね。

日本人にはあまり馴染みがないかもですが、アメリカ人の肥満問題はかなり顕著です。

メリット5.代替肉はヴィーガンを救う

ヴィーガンとはいわゆる完全菜食主義の人です。

日本ではあまり馴染みないですが、意外とアメリカではヴィーガンの人が多いんですよね。

実はヴィーガンも美味しい肉を食べたい!ニーズがあります。

レベル4の代替肉が登場し、ヴィーガンにインポッシブルフーズのバーガーがかなり売れているではないでしょうか。

代替肉の5つのデメリット

デメリット1.代替肉の美味しさは発展途上

代替肉のトップ企業インポッシブルフーズがやっと出てきたところで、全体の美味しさレベルはまだ発展途上です。

さらに、ビヨンドミート社というインポッシブルフーズのライバル企業も存在します。

一方、日本では大塚食品がゼロミートという大豆ミートでハンバーグやハム、ソーセージを発売中です。

僕も食べましたが、代替肉レベルでいうとレベル3.5程度でした。本当の肉々しさまでは再現できていないかなと。

とはいえ、大塚食品は大豆製品に力を入れており今後も要注目です。大豆ミート製品のJASも狙っている報道が出ているので先行者利益を狙っているかもしれません。

参考:大塚食品「大豆ミート製品」特色JAS規格の検討開始、市場全体が大きく成長する一助に

デメリット2.代替肉は決まってないことが多い

代替肉って定義がしっかり決まっていないし、呼び方が難しい部分もあります。

どういったものを代替肉といい、大豆ミートと呼べるのか…大塚食品のJAS規格検討も始まったばかりで具体的な定義付けはこれからですね。

アメリカのインポッシブルフーズは特許や技術を積み上げて覇権を握ろうとしたり、日本では大塚食品が法律で新規参入を防いだりと、今まさに「代替肉」とは何かが定義付けられようとしています。

とはいえ、美味しくてそれなりの価格で食べられるものが出てきたのは事実なので今後も要注目といえるでしょう。

価格が下がると生活者の食べてみたいハードルが下がりますので。

デメリット3.代替肉は栄養バランスが悪くなる

代替肉はいいことばかりでもありません。

例えば、インポッシブルフーズの植物性パティは塩分が高いなど、やはり油分が少ないので呈味を増強させるものが多く含まれています。

肉の食感を維持するには添加物も必要なので、新規な添加物であれば安全性の検証も必要になってくるでしょう。

さらに動物由来のビタミンやミネラル、アミノ酸も摂取できないので他で補う必要もありますね。

なので、「代替肉だから健康にいい」は科学的にも間違っています。そういった事実を理解しつつ、代替肉を楽しめるといいですよね。

デメリット4.代替肉のコストは高い

代替肉のコストはまだまだ高いのが現状です。

量産化のノウハウもまだ広がっていないこと、タンパク源である大豆などが高騰しているからです。

例えば、アメリカのビヨンドミートの代替肉は、単位当たり11〜12ドルですが、一般的な精肉は3ドル以下で見つかります。

したがって、コストが下がるまでは庶民に広がらないでしょう。

デメリット5.精肉業界の仕事がなくなる

日本の食肉業界の市場規模は3兆円を超えると言われています。

世界規模でも食肉産業に携わる人は億単位なので、代替肉が拡大することで精肉業界の仕事は徐々になくなるでしょう。

まさにゲームチェンジになるわけですが、どこまで代替肉が広がるのかは未知数でもあります。

今後の代替肉も含めた食品業界の動向を知りたい人はぜひ「フードテック革命」を読んでみてください。

代替肉と日本

日本ではまだ代替肉専門のベンチャーはかなり少ないの現状です。

現在、僕が日本で買える代替肉で気になっているのはオムニポークというベンチャーだけ。それだけ新規性があって話題になっているものが少ないんですよね。

最近、日本でも代替肉が入手できるようになりました!気になる人は参考にどうぞ。

日本で代替肉が声高に聞かれない理由の一つに、日本の食生活における食肉の存在感が他国よりも小さいことが考えられています。

ユーロモニター社の調査では、アメリカ、中国、ドイツ、フランス、ブラジルなど欧米、中国ではプロテイン摂取源の第1位が肉です。続いて乳製品が続きます。

OECDの調査でも日本の食肉消費はアメリカの半分程度であることが分かっています。

引用元:マッキンゼー食と農の未来p36

しかし日本のプロテイン摂取源の第1位は米、パスタ、麺類でこれが肉を上回っています。和食は大豆をベースにしたものが多く、豆腐、納豆、味噌など日本人に馴染みのあるものは大豆がよく使われていますよね。

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今回は以上となります。

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